のぼうの箸ができるまで のぼうの箸ができるまで

のぼうの箸が
できるまで

「のぼう」の箸は、若狭塗り箸の伝統的な技法をベースに、“つかみやすさ”を極限まで追求して作られた完全オリジナル品です。箸先1.5cmにこだわった形状づくりから、漆の塗り方、持った時のバランスまで、その全てを若狭塗り箸の工房とともに1から開発。そんな「のぼう」の箸ができるまでの工程をご紹介します。

1_原木の乾燥 「木材は3年間じっくり自然乾燥」

原木の乾燥 「木材は3年間じっくり自然乾燥」 原木の乾燥 「木材は3年間じっくり自然乾燥」

箸に使用する木材は、加工に適した状態になるまで室外で自然乾燥させます。木に含まれる水分が多いと表面が毛羽立ち、箸として理想の状態に仕上がらないため、木材の含水率が13%以下になるまでじっくり乾燥。実に3年の歳月に要します。その後は扱いやすいサイズに切り出した角材をさらに熱乾燥させ、木地づくりの工程に進みます。

2_木地づくり「つかみやすい箸を作り出すためベースは何より大切」

木地づくり「つかみやすい箸を作り出すためベースは何より大切」

乾燥した角材をさらにカットし、箸の形状を作っていきます。のぼうで人気の八角箸のような特殊な持ち手も、ベースはこの工程で作られます。その後は表面を滑らかに整えますが、木材によって研磨するペーパーの細かさや、かける時間を細かく調整。木地づくりの出来栄えが、その後の工程や仕上がりにまで関わってくるので、特に大切にしています。

3_曲がり検品「厳しい基準をクリアした木地だけが次の工程へ」

曲がり検品「厳しい基準をクリアした木地だけが次の工程へ」

木材は加工をするうちに反りや歪みが出てしまうため、箸の形状になった木地は、人の手で丁寧に検品されます。箸先の乱れをミリ単位で検査し、厳しい社内基準をクリアした木地だけが次の工程へ進みます。

4_すり漆「箸全体の耐久性を上げる」

すり漆「箸全体の耐久性を上げる」 すり漆「箸全体の耐久性を上げる」

箸全体に漆をすりこむ工程を「すり漆」と言い、箸の耐久性を高めるために行います。一度目のすり漆の後は、研磨の工程とは少し異なる「がら器」に入れ、箸同士をすり合わせることで表面を整えます。その後は風呂(むろ)と呼ばれる、湿度の高い漆器専用の保管庫に入れ乾燥させ、漆を硬化。

すり漆「箸全体の耐久性を上げる」 すり漆「箸全体の耐久性を上げる」

すり漆と風呂を使った漆の硬化を2〜5回繰り返し、箸全体の耐久性をじっくりあげていきます。頭や箸先に漆を塗る作業は、すり漆の工程とは異なる、ほこりの入らない特別な場所で行います。

5_模様つけ「若狭塗り箸ならではの伝統的な模様に」

模様つけ「若狭塗り箸ならではの伝統的な模様に」 模様つけ「若狭塗り箸ならではの伝統的な模様に」

伝統的な若狭塗り箸ならではの「螺鈿」を取り入れたデザインは、箸全体に漆を塗った後に卵殻や貝殻をのせます。ここでいかに丁寧に美しく配置できるかがポイント。その後は黒、黄、緑と色漆を塗り重ね、金箔をのせたら、さらに赤を塗り重ねていきます。工程ごとに漆を乾かす時間を設けるため、非常に時間がかかる根気が必要な工程です。

6_研ぎ「塗り重ねた漆を研ぐことで生まれる幻想的な美しさ」

研ぎ「塗り重ねた漆を研ぐことで生まれる幻想的な美しさ」 研ぎ「塗り重ねた漆を研ぐことで生まれる幻想的な美しさ」

塗り重ねた漆を研ぐことで、表面を滑らかにし、内側の貝殻や色漆を浮き出させる工程。これによって伝統的な若狭塗り箸ならではの、海底を思わせる幻想的な紋様が生まれます。研ぎすぎるとこれまでの工程が無になってしまうため、職人の感覚が物を言う技術です。

※箸によって製造工程は異なります

作り手の想い

若狭塗り箸の産地としての想い
(ぬりばし工房ふない 船井社長)

若狭塗り箸の産地としての想い(ぬりばし工房ふない 船井社長) 若狭塗り箸の産地としての想い(ぬりばし工房ふない 船井社長)

福井県小浜市にて、江戸時代から続く地場産業である「若狭塗り箸」の製造に長く取り組んできました。箸という限られた領域の中、継承してきた技術でいかにお客様の希望を実現するかを、常にスタッフ全員で追求し続けています。

若狭塗り箸の産地としての想い(ぬりばし工房ふない 船井社長) 若狭塗り箸の産地としての想い(ぬりばし工房ふない 船井社長)

小浜市は日本の箸の生産率80%を誇る一大産地ではありますが、少子高齢化や後継者不足により、メーカーは減少の一途を辿っています。各工程をそれぞれのメーカーが担当する分業制が一般的でしたが、廃業とともに専門技術が失われるかもしれない。そのことを恐れた私たちは、自社で全工程を完結させる「一貫生産」をはじめました。全工程を管理できるようになったことで、箸のサイズや形状など、お客様からの細かい希望に応えやすい環境も実現。そんな転換期に手がけることになったのが「のぼうの箸」です。

のぼうの箸づくりについて
(のぼう 代表田辺)

のぼうの箸づくりについて(のぼう 代表田辺)

のぼうの箸づくりで最も気を配っているのが、食い先と呼ばれる箸先1.5cmの部分。すべて天然漆を使用しており、形状も完全オリジナルです。最初の試作品から完成するまで、丸2年の歳月がかかりました。その後は、対面販売というスタイルだからこそダイレクトに伝わるお客様の声をヒントに、毎年約5種類の新作シリーズを開発。たとえば握力が弱った年配の方の意見を取り入れた太く軽い箸や、国産木を天然の漆だけで仕上げたシンプルな箸などが生まれました。

のぼうの箸づくりについて(のぼう 代表田辺)

もともと若狭塗り箸が店頭に並ぶまでは、問屋さんや代理店が数多く仲介するのが一般的。そのため、使う人が何を求めているか伝わりにくいことが悩みでした。しかし、のぼうの箸づくりでは、対面販売で聞き取った意見をそのまま受け取ることができ、使う人に最大限寄り添ったものづくりができます。時に困難なオーダーもありますが、挑戦していく上で積み重ねた経験は、確実に私たちの技術となっています。